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信託の基礎③(自益信託と自己信託)
こんにちは、司法書士の眞下です。
今、知り合いの方から借りた本で「奇跡のリンゴ」という本を本でいます。阿部サダヲ主演で映画化されたのでご存じの方も多いと思いますが、「絶対不可能」といわれた無農薬でのリンゴを作ることに挑戦した方の本です。また読み終えたら感想を書きたいと思います。
さて、信託の続きです。
信託の種類で自益信託と自己信託があると書きました。
まず自益信託ですが、自益信託とはその名の通り「委託者が自分のために設定する信託」です。
先日の例では財産を持っているAさんが、Xさんに財産を託し、その利益を受けるのはBさんでした(これを他益信託といいます)。この例で財産を持っているAさんがそのまま利益を受ける立場にもなることを自益信託といいます。
信託の実際の場面では、まずAさん自身が利益を受ける信託を利用して(自己信託)、その後Aさんの死後又は充分な利益が出る事を確定させてから、例えばAさんの息子Bさんに利益の部分を譲る(他益信託への移行)ことが多いです。
次に「自己信託」ですが、委託者が自らを受託者として設定する信託のことです。
…よく分かりませんよね。
具体例を挙げれば、財産を持っているAさんは、定期的に支援しているボランティア団体Xに利益を与える目的で自己信託を活用しました。
この場合、AからXに贈与すればよいという疑問もありますが、信託は贈与とは目的も利用方法も違います。
まず、自己信託をすれば、Aの財産でありながら、Aが破産をしても信託財産は原則影響がありません(これを信託の倒産隔離機能といいます)。そのため、自己信託を利用して債権者を害することもできるので、自己信託は公正証書等の書面をもって設定しなければなりません。
自己信託は平成19年に改正された「新信託法」の目玉でもあるので、次回もう少し詳しく解説したいと思います。